北海道親子3人の旅・回想編(漫遊紀)

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第1章 1日目 札幌

 我々は7月20日(金)、松山1330分発の全日空592便で東京へ行き、更に東京1700分発の全日空73便で新千歳へと飛んだ。

 おいおい、札幌直行便てなかったか?

いや、そのとおりなのであるが、なかなか週末については、かずまるの行事と私の休暇が合わない。3日連続して休みをとれそうなところ、実はその時期というのが、なんと宇和島の祭りの日だったのである。宇和島祭りのときならば、よもや職場の行事が入ってきたりはするまい。だが、その前にかずまるの行事が立ちふさがる。7月20日(金)といえば、小学校の終業式だったのである。

長々と申し立てたが、つまり、午前中かずまるは学校に行っていたから、松山〜札幌直通便には乗れなかったのだ。それにしても、東京経由で北海道へ行くなど、東京へ行くだけでも大旅行ではないか?そうなると、今更ながらに、よくぞ北海道へ行く気になったわい!という気がする。

だが、我々の不幸はまだまだ続く。札幌直行便に乗れば、少なくとも午後の何時間かは札幌の街を見物できる。それに、どこかのビール園にもぐりこむことができたのだ。いや、今回の旅行でも、実は当初の計画どおり、東京16時20分発のエアー北海道に乗れば、札幌駅から比較的近い「キリンビール園」ならば行けたはずなのだ。

それが、出発二週間前になって、旅行会社から「東京16時20分発のエアー北海道は運休になりましたので、次の全日空に変更してもかまいませんか?運賃はエアー北海道のままで良いそうです。」という電話がかかってきた。

はあ?何故運休?

運賃なぞ問題ではない。札幌での滞在時間が問題なのだ!

やり場のない怒りがこみ上げては来たが、ここで旅行会社に当たってもどうなるものでもない。

そんなこんなで、仕方なくビール園行きは幻と消えたのであった。

【追憶コラム】

今回の北海道旅行は、私にとっては初めての夏の北海道である。私の北海道旅行は一九年ぶりなのだが、冬の北海道は5回経験があるものの、夏は函館駅周辺を除いては初めてとなる。そこで、コラム欄を設けて、今回の旅行と、私の過去の記憶をシンクロさせることにした。

さて、ひそかに期待していたのに幻と消えたビール園なのだが、ここで言い訳をすることにしよう。つまり「酸っぱいぶどう」攻撃である。

昭和60年3月の大学卒業旅行で、私は「サッポロビール園」に行った。そこでは、真冬だというのに、真夏の太陽の下で汗をたっぷりとかいた後に飲んだビールの感動を得た。その感動がそれから20年を超えた今でも忘れられない。

今では、「サッポロビール園」は事前に予約をしていないと入場できないという。

いよいよ、その「酸っぱいぶどう」の話である。

北海道から帰って半年後の平成20年2月、愛媛県西条市にある「アサヒビール園」に出かけた。工場でできたてのビールを飲む期待の中に、当然ながらあの札幌の味との比較が出てくることは仕方ないと思う。時期はほとんど同じ。だが、札幌市と西条市の気候の差がどのくらいでるのか?そして、私の記憶が味そのものを変えてしまっているのではないか?そういう期待とも、怖れとも判らぬまま工場でのビールを飲んだ。そして、結果は・・・?

何の感動もなかったのである。

何故?

多分、メーカーなど関係ないと思う。当時の市販のビールに比べて、現在の市販のビールは、製造方法、流通過程の徹底的研究の末、味そのものが格段に向上したのではないか?だから、私の舌が肥えてしまって、あのときのような感動が得られなかったのではないか?

だから、結果的にそれを知らずにビール園へ行ったとしたら、きっと期待はずれになってしまったのだよ!

飛行機の都合でビール園へ行けなくて良かったのかも知れない、とあえて思うことにする。

というわけで、私の「酸っぱいぶどう」の話は終わる。

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新千歳空港到着。この新千歳空港に降り立つのは始めてである。札幌ではあんまり時間がないものだから、無理やり人ごみをかきわけて、予定より一本早い列車で札幌へと向かう。

車内は通路側だけにいくつか空席がある程度であったが、ええい!座れればいいのだ!と思い、そういえば、飛行機を降りたから、携帯電話のスイッチをいれよう。

って、・・・なんで、タイミングよく職場から携帯電話がかかってくるの?

幸い、内容は私の仕事と全く関係のないことであった。わざわざ北海道までかけてくるな!と思うほどたいしたことはなかった。

ほっとしたところで、それにしても、この「快速エアポート」って、新千歳〜札幌間に36分もかかるんかい!

所用時間にすれば、松山〜今治間に匹敵するのだ。距離にして四六・六キロ。複線を走る割には結構時間がかかるものだ、と思っていると、結構人の動きがあるものだ。みんな札幌まで行くのかと思っていたら、隣のボックスが全て空いたので、妻子を呼び寄せる。

そうして、落ち着いたところで、車内を見渡すと、そういえばなんだか浴衣を着た女性が目立つ。今日は何かがあるのだろうか?外は雨だというのに。

札幌19時25分到着。

高架された札幌駅も初めてだ。すぐ向こう隣のホームに、東京行き「特急北斗星」が停車している。

「お父さん、ブルートレインがいるよ!」

行け!かずまる!

呆れる妻の視線なぞ気にせず、我々は隣のホームへダッシュする。我々がホームへ着いたときには、すでに「特急北斗星」は動き始めていた。残念ながら、写真撮影はできなかったが「東京」と書かれた表示幕になんともいえない哀愁が漂う。

いいなあ、東京かあ。

そんなものに感動してどうする?

妻の冷たい一言が我々を現実に呼び戻す。現実に戻ってみると、実は「特急トワイライトエクスプレス」の方は、新潟県内の地震の関係で今も運休中という表示があることに気づく。

ともかく、私は腹が減った。そして、できたてでなくて良いからビールが欲しい!ここはやはり、札幌に来た以上はラーメンだろう。

大通り公園まで地下鉄に乗って、ガイドブックに載っていたラーメン店へと向かう。

地下鉄から地上へ出たときには雨はやんでいた。これはラッキー!と思った瞬間、沈黙を破るような爆音が!

そうか、今日は何の行事かは知らんが、花火大会だったんだ!

それで、浴衣の女性がいっぱいいたのね。

通りの南側のビル群に隠れるように、一面打ち上げられる花火の数々・・・

しばし、見とれる我々一行。特に、かずまるは祭りと花火が大好きだ。

あのお、私は腹が減ったんですけど・・・

めざすラーメン店は、店の外に椅子があるような店だから、混むときは混むのだろうが、ガイドブックによると、夜は二次会、三次会で立ち寄る人が多いらしい。だから、午後八時頃に行ったらあんまり人がいなかった。

かずまるは普通の醤油ラーメン、私は「なつかしラーメン」、妻は「?(忘れた・・・なんとかラーメンで余り濃くない味噌スープだった)」いずれも、我々には濃くないのがよい。もっとも、札幌では、道目はぎらぎらしていても中身は思ったより濃くないラーメンにしばしば出会う。

とりあえず、おなかは満足した。あとは、とりあえず夜食を確保しておけば、列車の中で好きなだけ食べればよいのだ。

時間はあと二時間ほどあるから、それまでに時計台を見て、喫茶店でケーキでも食べようか。

「あんたにしては、結構気がきいてるやん?」

すぐに鋭い妻のつっこみが入る。どーせ、私は店で食べるよりも、自宅でゆったりと食べるのが好きですよ。第一、帰りのことを考えずに飲めるじゃないか!

「ねえ、時計台って、何?」

今度は、かずまるのつっこみかい?

「あのね、もともとは、明治11年10月に札幌農学校演武場として作られたんだよ。当時はまだ、時計ではなく、鐘がつるされていただけで・・・」

「なんで?」

そんなこと知るかい!

「それにしても、小さいね」

確かにそのとおりである。たったこれだけで、札幌の超有名観光スポットなのである。「ウィキペディア」を見れば、「日本三大がっかり名所」に上げられている。

仕方がないから、私がわざわざガイドブックから見つけた喫茶店へ行こう・・・としたところで、妻の足が、テレビ塔の前で止まった。

「ここに行かない?」

「行ってもいいけど、喫茶店は行けなくなるよ。でも、テレビ塔って、午後九時半には閉まるんじゃなかったっけ?」

只今の時刻、午後9時ちょっと過ぎ。

「ちょっとだけでも行きたい」
「いいけど、喫茶店は行けなくなるよ」

「喫茶店は諦める」

じゃ、今後私が喫茶店嫌いだと言うのは止めてくれる?

なんてことを言ったら、後が怖いので、それは止めておいて、入口へと向かう。すると、

な、な、なんと!普段は9時半閉店のところ、今日だけ、午後十時まで営業しているぢゃないか!

そうか、今日は花火大会だったんだ!

そうと判れば、私だってテレビ塔をとる。花火大会が終わった後ということで、すでに人影はまばらではある。

じゃ、わざわざ閉店を30分延長した理由って何?

その理由は定かではないが、ともかく、そのおかげで我々はテレビ塔に入ることができたのである。

札幌は189万人都市だけあって、凄いには違いないのだが、高いビルが少ないこともあって、夜景だけに絞って評価すれば、神戸には劣る。が、多分、昼間見たら、評価が変わると思う。

西方向を見ていた妻が尋ねる。

「ねえ、あのぼーっと見えるのは何?」

西方向といえば、円山公園だ。藻岩もある。藻岩山といえば、市電に乗って、ロープウェイで登ることができる。もし、直行便で来れたならば、絶対行ったに違いない手軽な観光スポットである。

で、話を元に戻して、望遠鏡で見ると、その灯かりはスキー場のジャンプ台だったのだ。

いやあ、北海道だなあ。

ついでに、北海道の名物チョコレートも買っておこうか。

どーせ、どこかで大量にお土産を買わなくてはならない。ここで買って、自宅へ宅配する。それをお土産というかどうかはともかくとして、少なくとも荷物にならなくてすむ。

いやあ、時代は変わったものだ。

時代は変わったものだ、といえば、その名物チョコレート、我々が北海道から帰ってすぐに、偽装が発覚して販売停止になったのだ。

ちなみに、その頃、愛媛県の南予地方には大雨洪水警報が発令されていたと言う。

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