北海道親子3人の旅・2008回想編

 
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平成20年7月21日(月祝)

21 浜小清水(他)DMV乗車  (2008.07.29更新)

【期待】★★★★★
【結果】★★★★★
【環境】★★★★☆

【はじめに】昨年、この光景を見て、まさに地団駄を踏んだことは、前に述べたとおりである。あれから1年、私はDMVが、妻は富良野のラベンダー畑が置荷物となって、北海道へ再びやってきたといっても過言ではあるまい。

ちなみに、DMVに関しては、その構造やコンセプト等はJR北海道等のサイトを参考にしていただきたく、ここでは、あくまで私個人のDMVの意見を述べることとする。

【全体的なイメージ】正直なところ、坊っちゃん列車と同じで、実際に乗るよりは、外からその複雑なギミックを見るほうが良かったのかもしれない。実際、自動車モードから鉄道モードに入るとき、車体が降りていくのだが、当然ながら乗車している我々には何も見えないし、その光景を勝手知った(あるいはたまたま居合わせた?)ギャラリーが撮影している風景は、なんだか我々は水槽の金魚のような感じもした。

だが、DMVの人気はすごい。原生花園駅では踏切で幾重にもできた人垣の前の徐行を余儀なくされたし、北浜駅のホームも然り。乗車している者からすれば、まさに「水槽の中の金魚」状態なのか、ギャラリーを見て「下々の者たちよ!」なのかは判らないが、やっぱり乗車してよかった。

【乗り心地】
線路上を走ることに関しては、特に特記することはなかった。鉄道用車輪が4個とタイヤが2個であるが、タイヤに関しては、特に何も感じることはなかった。鉄道用車輪は1軸だから、当然線路の継ぎ目の音が独特であった。ただ、これらは、DMVの速度が遅いことによるものであろうから、本格的運転を始め、速度も70キロを超えてくるとどうなるのか?ということは判らない。

というのも、線路上は問題ないのだが、道路を走る場合は、路面の凹凸部ではかなり神経質な運転を余儀なくされていた。ただ、走行した場所が農道(DMV乗車前に走った道路)である割には、大型車の走行が多い道路であったため、道路構造の問題から、かなり荒れていることは判っていたのだが、これらも営業運転する場合にはひとつの問題点となるのかもしれない。

【現在の安全対策】
DMV試乗は大人1,500円、子供1,000円であるが、それ以上の人件費がかかっている。信号の整備員、運転士2名、案内役、そして各駅の警備員、なんといっても、DMVは鉄道の運転士と営業用大型バス運転士の2名を必要とする。通常(失礼ながら)公共交通の運転士としては相反するものだから、まず両方の免許を持っている人はいまい。

また、信号(特にATS)の作動には、バスとして外から入ってくる場合は、都市部のような渋滞に巻き込まれるようなところや、列車密度の濃い路線では、まず走行不能であると思う。現在のところは、これでもかと思うほど、入念な信号確認をしていたが、これらも量産型営業車となれば、ある程度は簡略化されるのであろう。

ただ、ひとつ面白かったのが、道路運転士の所轄と鉄道運転士の所轄の境界部である。特に線路から道路へ切り替える部分は、線路から敷地内へ出て、ゲートの手前までである。つまり、鉄道運転士はまさに大型バスの運転を数メートルではあるもののしなければならないのである。(おーい!「元気君!」運転できる?)これが大変気になった。

【当初開発コンセプトについて】
JR北海道は、当初からDMVを開発しようとしたものではなく、その前段としては、製造及び維持コストを考えた現代版レールバスの開発を考えた途中で、線路から道路へと走っていけることを考えたらしい。

この考え方は、北海道の廃止された鉄道を考えると、賞賛に値すると思う。東北地方のミニ新幹線を出すまでもなく、人は乗換えをするということに対して、大変なコンプレックスを持っているのは事実である。それを解消することは、既存の線路を極限まで廃止してしまった北海道の鉄道を含む公共交通の課題と言えるかもしれない。

だが、一方で、北海道の地方都市中心部で線路を走らなければならないほど渋滞は起こるものであろうか?という疑問もある。逆に、都市中心部で渋滞が多いところは、DMV程度の輸送で足りるのか?という考えもした。つまり、最初からバスで十分ではないか?という考え方である。

また、DMV最大の欠点は、トイレがないことである。JR北海道の車両は、冬場に缶詰になることを想定し、全ての列車にトイレが連結されていると言う。夏場のみDMV、冬場は従来の輸送方法という考え方もあるが、それらはどうなのだろうか。

あるいは、都市中心部からは既存の列車(例えばキハ54等)に併結し、途中から切り離されて、バスとして単独で走るということであろうか。

いずれにしても、このような今までなかったことを開発していくというコンセプトは、これからの公共交通を発展させていくために必要なことである。まだ試作段階であることは我々のような素人でもはっきり判ることであり、今後の開発に期待するところである。

【DMVの今後について】
JR北海道が開発したDMVであるが、JR北海道は前述のとおり、当初は現代版レールバスの開発していた。私がこれまで述べたとおり、北海道の現状を考えると、JR北海道が開発することになったのは、ひょっとして他のJRグループのバックアップがあったのではないか?という気がしないでもない。

例えば、高千穂鉄道のように、鉄路の一部が破壊されたものの、鉄道としての眺望資源に優れているような場所などは最適ではないかと思う。また、予土線でも、宇和島〜江川崎間は廃止のうえバス輸送、江川崎〜窪川間は高速運転のできる鉄道という考え方もないではないようにも思う。

いずれにしても、まだ未完成とも思えるDMVがどのような完成形となるのか、大変興味があるところである。

【補足】
前日の小清水原生花園では、あまり花に感動することがなかったであるが、道路や小清水原生花園から見る原生花園と線路から見る原生花園とは全く異質のものである印象をもった。

簡単に言えば、原生花園は釧網本線上に咲き誇っているといっても過言ではない。

しかも、DMVの場合は速度を落としているから、まさにお花畑の中を進むという、今までの原生花園に対する考え方を改めなければならないほどの感動を受けたのであった。